お気に入りのフレグランスを身にまとって外出するのは、女性のみならず、男性でもたしなんでいる方はいらっしゃると思います。
好きな香りを使う自由と周囲に及ぼす影響は相反しますが、医療機関ではどうぞお控えください。
理由として、
・つわりや体調不良など、においに敏感な患者さんも通院しています。妊娠していない方でも頭痛や吐き気を催す方がいます。
・患者さんのプライバシーを保つため、個室空間が多いですが、香りがこもってしまい、次の方が使うことができません。香水を使ってらっしゃる患者さんの診察が終わると、その方の診察後には毎回消臭作業を行うため、次の患者さんたちをお待たせしています。
・香水の主成分は石油化合物です。化学物質に対してアレルギーを起こしてしまう方がいます。
また、一部の化学物質は「内分泌かく乱物質」として研究されています。ホルモンのはたらきに干渉し、生殖機能に影響を及ぼす可能性が動物実験などで示されており、妊娠を希望される方や妊娠中の方には特に気になる情報かもしれません。ただし、通常の使用量で人体に明確な影響が出るかどうかは、現時点では科学的に確立されていませんが参考にして下さい。
香水に含まれるフタル酸エステルやパラベンなどの化学成分は、アレルギーや内分泌への影響だけでなく、生殖機能、特に男性の生殖機能への障害との関連が報告されています(Kazemi Z et al, 2022)。また香水や柔軟剤などに含まれるノニルフェノールという化学成分は、弱いエストロゲン様作用を持ち、精子の数・運動性・生存率の低下など、男性の生殖機能に影響を及ぼす可能性が動物実験・細胞実験で示されています(Noorimotlagh Z et al, 2017)。
ご自身が楽しまれるのは自由ですが、周囲の患者さんに及ぼす影響や、残った香水のにおいを医療機関のスタッフが消臭作業まで行っていることはご存じないかも知れません。
様々な患者さんが通院される施設ですので、どうぞご配慮をお願い申し上げます。
なお、当院でもリラクゼーションや感染症対策を目的に純度の高いアロマオイルを使うことがあります。
石油から作られる香水とアロマオイルは全く別のものですが、不快に思われる方は遠慮なく仰ってください。
文責:櫻井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
令和8年3月19日 アップデート
