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子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症の4つの薬物療法と副作用、治療費など

子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)「ミレーナ®

2007年から使われている子宮内避妊器具で、よく「リング」とか「避妊リング」と呼び慣わされている、IntraUterine System、IUSと呼ばれる「ミレーナ®」は、これまでの避妊用リングと異なる点として、器具の表面に黄体ホルモンが付加されています。

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このミレーナ®に付加されている黄体ホルモン、レボノルゲストレル(LNG)は、避妊用の低用量ピル(OC)「トリキュラー、ラベルフィーユ」やLEP「ジェミーナ」にも含まれているもので、その主作用は、これまでの銅付加IUSよりも、子宮内膜の増殖を抑制する効果、つまり、より避妊効果を高めるためでしたが、この副効用が月経量を減らす、また子宮腺筋症を縮小させる効果があることが分かって来ました。

またジエノゲスト同様、OCにみられるような血栓症のリスクはほとんどなく、子宮頚がん、体がんのリスクも増えません(子宮体がんは発症が減少します)。

2014年9月より、このミレーナ®が、過多月経、月経困難症の方を対象に、保険適応となりました。厳密に言うと内膜症、筋腫、腺筋症があるだけでは保険適応にはなりませんが、これらの病気で過多月経、月経困難症で悩んでいる方であれば保険適応となります。

過多月経、とは、その名の通り月経が多い方で、どれくらい、は他の方と比べることが出来ないですからとても難しいですよね。
概ね、貧血検査を行い、ヘモグロビン(血色素、Hb)が12.0を下回る状態、と解釈しています。
また、Hbが12以上あっても、月経中は衣類やお布団を汚してしまう、出血が多くて外出がままならない、というように、日常生活に支障を来す状態は過多月経、といえると思います。

IUS挿入に当たって、患者さんの負担は約8,700円で、抜去は450円です。
これに事前に行う超音波検査、腟分泌物培養検査、クラミジア抗原検査、子宮頚がん/体がん検査を行い、挿入時には感染予防に抗生物質を服用して頂きます。
ちなみに避妊目的に自費でIUSを使う際のコストは挿入時、67,430円(税込)、抜去時に13,750円(税込)です。

その他、IUS装着についての情報です。

・IUS装着と抜去は、月経直後が適しています。

・経腟分娩を経験したことのない方、未産婦の方は子宮口が狭く、挿入が困難なことがあります。この場合、子宮頚管拡張術が必要なことがあります。子宮頚管拡張術は自費で1,650円(税込)です。

・子宮に異物を入れる、と言う観点から、腟内の感染、腟炎がみられる方は、挿入前に治療が必要となります。

・挿入した後で、痛みや違和感、また不正出血がみられる事があります。

 挿入後1ヶ月もすると、これらの症状はほとんどなくなって来ますが、症状が持続、悪化する場合、特に子宮内感染を疑われる場合には抜去が必要です。

・ミレーナは黄体ホルモンが子宮内に放出されますが、この影響で月経不順になったり、無月経となることが多いですが、もともと過多月経や月経痛に悩まされて来た方たちは、少量の出血で痛みも軽く、出血の間隔が空くことで満足感が強いです。

・約10%の方に、IUSの脱落がみられます。この場合、再度挿入するか、他の治療法の検討が必要です。

・挿入後、5年経過したら、入れ替えが必ず必要です。
 これを怠ると、子宮筋層にIUSが深く食い込んでしまい、容易に取れなくなってしまったり、放線菌という特殊な菌が繁殖することがあります。
 放線菌はとても難治性で、子宮内膜炎や骨盤腹膜炎を併発しやすく、再発を繰り返し、また長期間抗生物質を服用しないと完治しません。
 くれぐれも入れ替えを忘れないようにしてください。

・当然のことですが、避妊効果は100%ではありません。妊娠の兆候が見られた場合、受診するか、妊娠検査薬を使用して下さい。
また、コンドームと異なり、性行為感染症(STI)の予防にはなりません。

ミレーナについて詳しい解説はこちらもご覧ください

次は最後にOC/LEPについて説明します。

偽閉経療法はこちら

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