エストロゲン製剤「プロギノンデポー®」を月経不順や無月経の治療で使われている方にお知らせします。
「プロギノンデポー®」が入手困難となってきました。
痩身(メディカルダイエット)目的でGLP-1製剤が多用された結果、本来治療を必要とする糖尿病の患者さんに薬が行き渡らなくなっている問題をニュースでご存知の方も多いと思います。
残念ながらこのエストロゲン製剤でも同様の現象が起きています。美容・アンチエイジング・ボディメイクなどを目的とした自由診療での使用が急増したことで、卵巣機能が低下して治療を必要としている患者さんへの供給が不足するという事態に陥っています。
本来の保険医療現場で必要とする患者さんたちへ適切に届くよう、学会等からの発信や啓発も望まれる状況ですが、当面は薬の確保が難しい状態が続く見込みです。
現在、当院では、プロギノンデポーを、加齢や早発卵巣不全(POI)による卵巣機能の低下(卵巣性卵巣機能不全)や、若年者の月経不順、無月経など中枢性卵巣機能不全や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対する治療にも使用しています。
プロギノンデポーは、現在、国内に同等の作用を持つ薬剤がなく、卵巣性卵巣機能不全の患者さんでは、他の薬剤へ変更することができません。一方で、中枢性卵巣機能不全による月経不順や無月経の患者さんについては、プレマリン®やプラノバール®などの内服薬へ変更することが可能です。
そのため、当院では、中枢性卵巣機能不全に対してプロギノンデポーを使用している患者さんについては、今後、以下のとおり治療方法を変更いたします。
これまでプロギノンデポーの注射で通院されていた患者さんは、注射を受ける予定でご来院いただいた際に、診察室で代替治療の内容について説明します。
① 卵巣性卵巣機能不全(AMH低下、FSH上昇、加齢など)の場合 — 注射+内服法(従来通り)
主に加齢に伴う卵巣機能の低下に効果のある方法です。
- 消退出血の10日目に、プロギノンデポー®(エストロゲン製剤)を注射
- 20日目に、プロギノンデポー注射とデュファストン®(黄体ホルモン製剤)を7日間内服
- 内服終了から2〜3日後に消退出血
※20日目の注射が遅れると、不正出血がみられることがあります。
② 中枢性卵巣機能不全(主に若年、中枢性、多嚢胞性卵巣など)の場合 — 内服法(変更となる方もいらっしゃいます)
- 消退出血の5日目から、プレマリン®(エストロゲン製剤)を1日2錠、10日間服用
- 服用終了の翌日から、プラノバール®(中用量ピル)を1日1錠(就寝前)、ナウゼリン®(吐き気止め)とあわせて10日間服用
- 服用終了から数日後に消退出血
※服用を忘れると、不正出血がみられることがあります。
※プラノバールはピルのため、内服できない方もいらっしゃいます。事前に問診票で内服可否を確認したうえで処方いたします。また吐き気が比較的出やすいお薬のため、吐き気止めとあわせて服用いただいています。
ご質問はいつでもお問い合わせ下さい。
文責 櫻井明弘 院長、日本専門医機構認定産婦人科専門医
