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新しい低用量ピル「マルシロン」とは? 〜特徴・効果・副作用をわかりやすく解説〜

月経痛をはじめ、月経に伴うトラブルの改善や避妊を目的として、多くの女性に利用されている低用量ピル。海外で広く使用されているマルシロン(Mercilon)が国内でも9/1に発売されました。

マルシロンの特徴や期待できる効果、アクティブコントロールやクイックスタートといった内服方法、薬価、副作用、注意点をわかりやすく解説します。

マルシロンとは?

低用量ピル

マルシロンは、世界中で使用されている第3世代の1相性ピルです。(「第3世代」「1相性」についてはこちらを参考にして下さい

日本で処方されている低用量ピル「マーベロン」や「ファボワール」と同じ有効成分である

  • デソゲストレル
  • エチニルエストラジオール

を含んでいます。

ただし、マルシロンはマーベロンよりもエストロゲン(卵胞ホルモン)=エチニルエストラジオールの量が少なく、

  • マーベロン:30μg
  • マルシロン:20μg

となっています。

そのため、「超低用量ピル」に分類されることもあります。

また、1相性ピルであるため、すべての実薬に同じ量のホルモンが含まれており、飲む順番を気にする必要がありません。ホルモンバランスが安定しやすいことも特徴です。

日本では月経困難症を適応とし、9/1に処方が可能となりました。

マルシロンに期待できる効果

生理痛やPMSの軽減

他のピルと同様に、

  • 生理痛
  • 月経量の多さ
  • 月経前症候群(PMS)

の改善が期待できます。

生理による日常生活への支障を軽減したい方にも有用です。

副効用としてニキビや肌荒れの改善

マルシロンに含まれるデソゲストレルは、男性ホルモンの作用を抑える働きがあります。

そのため、

  • ニキビ
  • 肌荒れ
  • 皮脂分泌の増加
  • 多毛症

などの改善も期待できます。

「生理痛だけでなく肌の状態も整えたい」という方に選ばれます。

マルシロンの内服方法

低用量ピルの副作用

生理回数を減らす「アクティブコントロール」

近年では、複数シートを連続して服用することで、生理(消退出血)の回数を減らす方法も広く行われています。

例えば、

  • 21日服用+7日休薬=28日周期
  • 24日服用+4日休薬=28日周期

という従来の方法だけでなく、

  • 24~120日までのフレックス服用
  • 77日間の連続服用

といった方法が選択されることもあります。フレックス法や連続法はこちらをご覧ください

マルシロンの内服方法は、

・24~80日間連続経口投与し、その後4日間休薬する。以後連続投与と休薬を繰り返す

という方法で、休薬してから2、3日で出血を起こすことができるため、ご自身で出血の日程をコントロールできます。かつてはStop & Goとも呼ばれていた「アクティブコントロール」という方法です。詳しい服用方法については医師と相談し、最終的にはご自分で決定できます。

いつからでも始められる「クイックスタート」

低用量ピルは、これまで「生理が始まった日(1日目)から服用を開始する」という方法が基本とされてきました。生理周期に合わせて開始することで、服用開始時点で妊娠していないことを確認しやすいためです。

一方でマルシロンは、生理のタイミングにかかわらず、受診したその日から服用を始められる「クイックスタート」という方法を取ることが出来ます。

こんな方に向いています

  • 生理周期が不規則で、次の生理がいつ来るか予測しにくい方
  • 「始めよう」と思ったタイミングと生理の時期がなかなか合わない方
  • 受診の機会を逃さず、思い立った日から服用を始めたい方

クイックスタートを選ぶ際の注意点

クイックスタートは生理周期を問わず開始できる分、服用開始時点で妊娠していないことの確認がより重要になります。目安として、前回の生理開始以降に性交渉がないことが条件となり、あてはまらない場合は妊娠検査などで確認する場合があります。

また、マルシロンは避妊薬ではありませんが、生理1日目から開始する場合と異なり、服用を始めてから避妊効果が安定するまでに1週間程度かかると考えられているため、開始から1週間はコンドームなど他の方法を併用してください。

「1日目スタート」と「クイックスタート」のどちらを選ぶか、また「アクティブコントロール」でどのくらい連続して服用するかは、診察時に医師と相談のうえ決めていただけます。低用量ピルの服用開始を検討されている方は、お気軽にご相談ください。初めて受診される方はこちらもご覧ください。

マルシロンの薬価は?

マルシロンの薬価は、1錠276.90円です。

28錠(4週間)で3割負担の場合、約2,330円です。実際のシートは20錠で構成されていますので、1シート約1,660円です。

低用量ピルの副作用

マルシロンに限らず、低用量ピル共通の副作用としてお伝えします。

飲み始めに起こりやすい症状

服用開始から2~3か月程度は、

  • 不正出血、茶色いおりもの
  • 乳房の張り
  • 軽い吐き気
  • 頭痛
  • むくみ

などがみられることがあります。

特に超低用量タイプでは、不正出血がやや起こりやすい傾向がありますが、多くの場合は数周期で自然に改善します。

改善しない場合には、他のピルなどへの変更も検討します。

最も注意すべき副作用「血栓症」

すべてのエストロゲン配合ピルに共通する重大な副作用として、血栓症があります。

血栓症とは、血管の中に血液の塊(血栓)ができ、血流を妨げる病気です。

発症頻度は非常に低いものの、重症化すると命に関わることがあります。

また、第3世代ピルは第2世代ピルと比較して、静脈血栓症リスクがやや高いことが報告されています(Stegeman BH et al. 2013)が、ピルによる血栓症の発症頻度は低く、年齢、喫煙、肥満や既往歴などによってリスクは異なります。

ACHES(エイクス)を覚えておきましょう

次の症状が現れた場合は、服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

A:Abdominal pain(激しい腹痛)
突然の強い腹痛

C:Chest pain(胸痛・息切れ)
胸の痛み、圧迫感、息苦しさ

H:Headache(激しい頭痛)
これまで経験したことのない強い頭痛、めまい、失神

E:Eye problems(視覚異常)
視野の欠け、見えにくさ、視力低下

S:Severe leg pain(足の痛み)
ふくらはぎの痛み、腫れ、赤み、熱感

これらは血栓症のサインである可能性があります。

よくあるご質問(FAQ)

マルシロンは、マーベロンと何が違いますか?

どちらもデソゲストレルとエチニルエストラジオールを含む第3世代・1相性の低用量ピルですが、エストロゲンの量が異なります。マルシロンはエチニルエストラジオール20μg、マーベロンは30μgです。マルシロンはエストロゲン量が少ないため、「超低用量ピル」に分類されることもあります。またマルシロンは、アクティブコントロールやクイックスタートといった内服方法を選ぶこともできます。

マルシロンを飲むと、生理の回数を減らすことができますか?

はい。マルシロンは、24~80日間連続して服用した後、4日間休薬するという服用方法が可能です。マーベロンなど従来の「21日間服用+7日間休薬」に比べて、出血の回数を減らすことができます。どのくらい連続して服用するかは、患者さん自身が決めるアクティブコントロールができます。

生理中でなくても、マルシロンを飲み始めることができますか?

はい。「クイックスタート」という方法で、生理のタイミングに関係なく、受診した日から服用を開始することができます。ただし、服用開始時点で妊娠していないことが前提となり、前回の生理開始以降に性交渉がないことが目安となります。あてはまらない場合は、妊娠検査などで確認したうえでの開始となります。また、生理1日目から始める場合と異なり、服用開始から1週間程度は避妊効果がみられないと考えられているため、避妊が必要な方はコンドームなど他の方法を併用してください。詳しくは診察時にご相談ください。

マルシロンを飲むと、ニキビや肌荒れ、PMSも改善しますか?

改善が期待できる場合があります。マルシロンに含まれるデソゲストレルは男性ホルモン(アンドロゲン)の作用を抑える働きがあるため、ニキビ、皮脂の増加、多毛などの改善が期待できます。またPMSに対する効果も同様です。ただし、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。

マルシロンを飲み始めると、不正出血が起こることはありますか?

はい。飲み始めの2~3か月程度は、不正出血や茶色いおりものがみられることがあります。特にエストロゲン量が少ないピルでは、不正出血がやや起こりやすい傾向があります。通常は出血量も少なく、また多くの場合は数周期で落ち着きますが、それ以上続く場合などでは、薬の変更などを検討します。

マルシロンで注意しなければならない副作用は何ですか?

最も注意が必要なのは血栓症です。発症頻度は非常に低いものの、重症化すると命に関わることがあります。突然の激しい腹痛、胸の痛み・息苦しさ、これまで経験したことのない激しい頭痛、視覚異常、片脚の痛みや腫れなどがみられた場合は、服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

文責 櫻井明弘 院長、日本専門医機構認定産婦人科専門医

産婦人科クリニックさくら

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初出:令和8年6月23日
補筆修正:令和8年8月13日、15日、アクティブコントロールについて追記しました。
補筆修正:令和8年9月3日、マルシロンの内服方法(アクティブコントロール・クイックスタート)として整理・追記しました。