愛知県がんセンターからの発表によると、閉経前の女性では、アルコール摂取の頻度や量が、乳がんの発生リスクを高めることがわかりました。

約16万人もの女性を平均14年間、追跡調査したもので、2010年に5万人の日本人女性を対象に行われた研究など8つの研究成果をプール解析したものです。

これによるとアルコールを飲まない女性に比べて、

・週に1〜4日以上飲酒するとリスクが上昇し、週に5日以上で1.37倍に

・量は少しでも飲酒があればリスクが上昇し、週に23グラム以上で1.74倍に

それぞれ上昇する、とのことです。

23グラムは、ビール換算で500ml強、ワインだとグラス2杯くらい、これ、1週間の量です。

ちなみに出産率に関しては週に50グラム、という海外のデータがあります。

当院のYouTube動画「赤ちゃんを迎えるための生活習慣」の中でも解説しています。

肥満は乳がんリスクを1.5倍に上昇させるそうですが、今回の発表で、アルコールは肥満を上回るリスクということがわかりました。

なお、閉経後はアルコールの影響はなかったそうです。


アルコールが乳がんのリスクとなるのは、エストロゲン分泌を増やす、アルコールの分解産物であるアセトアルデヒドの発がん性が言われていますが、まだ詳しいことはわかっていません。


これまでも、アルコールと乳がんの関係は数多く報告されていますが、日本人のデータは余り多くありませんでした。

日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン(令和2年8月23日更新)では、「アルコール飲料の摂取により閉経前では乳癌発症リスクが増加する可能性があり,閉経後では乳癌発症リスクが増加することはほぼ確実であ」とされています。

これまでの日本人を対象とした研究が少なく、国際的なデータを元にステートメントが発表されています。

欧米人に比べ、日本人女性はアルコール摂取量が少なく、また肥満が少ないため脂肪細胞が少ない、など、人種差があり、日本人のデータが示されるのは大変意義深いことです。

このような生活習慣の影響が発表されるのは、生活様式を考える上で大変有用で参考になります。一方で、アルコールが好きな方、またコミニュケーションには欠かせないこともあります。

一切アルコールを断てれば理想ですが、このような知識を持つことで、アルコールの害を自覚し、また乳がんの検診を受け、早期発見に努めて下さい。当院の乳癌がん検診はこちらをご覧下さい

また、閉経後の影響はなかったとは言え、アルコールの害は乳ガンだけに留まりません。節度ある飲酒習慣を持って下さいね。

当院のHP内の乳がん関連記事です。

日本の乳がん罹患率、年次推移

当院患者さんの乳がん健診受診率

低用量ピルの乳がん発生への影響

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和3年3月15日
補筆修正:令和3年3月16日、7月14日