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鉄欠乏性貧血の治療薬、カルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®) 

鉄欠乏性貧血の治療薬として、久しぶりに新しい鉄剤が発売となり、使うことが出来るようになりました。

カルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)ですが、注射製剤です。

鉄を補充するには、

・内服薬

・注射剤

サプリメント

がありますが、内服薬では胃痛を起こしたり、便秘の原因となったり、また便が黒くなることがあります。

注射剤ではこのような胃腸のトラブルは起こりませんが、反対に過剰投与に注意しなければなりません。そのため投与前には必ず採血を行なって、貧血の程度を診なければなりません。

またこれまでの注射剤は週に2、3回の通院が必要でした。

今回使用できるようになった、「カルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)」は、500mgの鉄分が含まれており、1週間に1回、合計最高で3回、投与します。

ゆっくりと投与しなければならないため、当院では生理食塩水100mlに混ぜて点滴投与しています。所要時間は約20分弱かかりますが、血管の状態によって異なります。

対象となるのは、手術を控えた場合を除き、ヘモグロビン値が8.0g/dLを下回っている方です。

これまでの経験で、Hb(ヘモグロビン)値の改善はもちろん、貯蔵鉄を表すフェリチンも著しく改善される傾向です。

貧血治療に新しい選択肢です。詳しくは診察室で相談しましょう。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和2年9月15日
補筆修正:令和2年9月16日
補筆修正:令和3年2月4日、8日、3月26日
補筆修正:令和4年6月20日
補筆修正:令和5年4月7日