8月30日、厚生労働省の会議で、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)に関する3つの興味深い調査結果が発表されました。

第42回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会資料


3つの調査とは、自治体を対象とした

①厚生労働省のHPVワクチンリーフレットの活用

と、国民向け調査の

②HPVワクチンの情報

③上記のリーフレットのわかりやすさ

です。

厚労省リーフレット「7割の市町村が利用せず」

①の厚労省のリーフレットはこちらのリンク先からもご覧になれますが、HPVワクチンを受けることを考えている方、ワクチンを受けた方、そして医療従事者向けの3種類が、平成30年1月に作成、公表されました。

日本には1,741の市町村があるそうですが、このリーフレットを市町村のweb掲載と窓口設置・配布のどちらか、または両方を実施しているのは、499市町村(28.6%)しかなく、実に70.9%はどちらも行っていない、と回答しました。

その一方で、ワクチンの定期接種対象者(小6から高1の女性)に、個別にリーフレットや自治体で独自に作成したリーフレット等を送付・配付しているのは97市町村(5.5%、市町村名は非公表)で、自治体間での情報提供の取り組みの違いが歴然としています。(この数値は一部サイトで79市町村とされています)

自治体の取り組みをいくつかあげると、

・姫路市では昨年度147人が接種したそうです。
・千葉県いすみ市は、今年7月に高1相当の女子の保護者に市独自の通知を発送。
・八戸市では今年度、定期接種対象の小6から高1相当女子の世帯に定期接種を知らせる文書を配布。
・岡山県は学校を通じてワクチンの有効性やリスクなどが書かれたリーフレットを、定期接種対象者らへ届ける意向を示す。

と言った情報が得られました。


HPVワクチンの接種、「分からないことが多いため、決めかねている」が多数派

②HPVワクチンの情報は、平成30年10月に全国の12〜69歳の男女2,400人にWeb調査されました。

・予防接種をするときに、誰の意見を参考にするか、の問いには、

男女ともに「かかりつけ医」が最多で、HPVワクチン定期接種対象者の12〜16歳の女性は、「母親」が75%で最多、その対象者の母親は「かかりつけ医」が50%で最多でした。

・HPVワクチンの意義・効果については、

「知っている」「少し知っている」と回答したのは、定期接種対象者34%、その母親57%でした。

これらより、HPVワクチンの正しい情報は、かかりつけ医から母親に提供されるのが、望ましいと推測されます。

・一方でHPVワクチン接種後に起こりうる症状について、

男女全体で半数近くが「知らない、聞いたこともない」と答え、定期接種対象者も同様でしたが、母親22%で、対象者の母親では関心が高いことが伺えます。

・「HPVワクチンの意義・効果」と「HPVワクチン接種後に起こりうる症状」についてどこから情報がほしいと思うかとの質問には、

定期接種対象者では「学校」「かかりつけ医」「TV新聞雑誌の情報」

その母親では「TV新聞雑誌の情報」「かかりつけ医」「自治体窓口」

の順で、子供たちは「学校」を、母親はメディアの情報を求めていますが、どちらもかかりつけ医からの情報に期待をしています。

・HPVワクチン接種について、

定期接種対象者で最多だったのは「決めかねている」45%、「今後検討したい」15%、「今後も接種をする予定はない」9%、「わからない」20%で、「接種をした」は1.3%でした。

母親は、「決めかねている」38%、「今後検討したい」16%、「今後も接種をする予定はない」15%、「わからない」14%で、「接種をした」は2.7%でした。

現在のような状況の中でも、情報不足から「決めかねている」「わからない」方はとても多く、接種するつもりがない方は予想よりもずっと少なかったことが伺えます。


今回の調査結果をみて感じたのは、

・自治体による情報不足。

定期接種にもかかわらず、厚生労働省が「積極的に勧奨しない」ため、自治体は情報提供に二の足を踏んでいる、国・自治体の事なかれ主義が垣間見られます。

・情報不足のため、決めかねている、分からない方が多い。

ワクチンの必要性を感じている母娘は多いのに、国・自治体が消極的であり、情報提供を求める学校でも教育に取り入れられることが少ない。

相談相手として「かかりつけ医」への期待もあるものの、医療者の中でもマスコミの影響を受けてワクチンを安全でない、と考えている傾向もある。

ようやくメディアの取り上げ方が変わってきており、メディアや医療機関から母親、そして接種対象者へと正しい情報が伝わっていくことにより、接種率は十分向上させることができると感じました。

本当は防げるはずの病気が、情報を与えられないままワクチン接種の機会を奪われていることは、一刻も早く打開しなければなりません。