高度生殖医療のメインイベントとも言える、採卵。

卵巣から卵子を採取し、いよいよ精子と受精をさせます。

その方法として、「体外受精」と「顕微授精」がありますが、その選択基準は?

産婦人科クリニックさくらでは、採卵日に採取された精液を主にSwim Up法と呼ばれる処理で行い、良好な運動精子を、より分けます。

その結果得られた良好運動精子が100万以上得られたら「体外受精」を、100万に満たない場合には、受精障害が起こる可能性が高まるため「顕微授精」を勧めています。

また、最初の採卵で、4個以上の卵子が採取できた場合、良好運動精子が100万以上得られても、半分は体外受精、半分は顕微授精を勧めます。これをSplit ICSIとよび、「受精障害」の可能性がある場合に行います。

受精障害は、これまで妊娠が一度もなかったカップルの場合、不妊の原因として考えられます。

近い過去に、流産であっても妊娠があった場合、受精障害の可能性は低いですが、前回の妊娠からだいぶ経つ場合にも、受精障害を疑わなければなりません。

さて、体外受精と顕微授精、選択した場合、それぞれどれくらいの受精率なのでしょうか。

体外受精顕微授精受精率2017

ここにあげた図は、院内資料のため、少し分かりにくいと思いますので、解説します。

右上の二つの円グラフ、右は採卵時の卵子の状態で、MIIとあるのが「成熟卵」(85%)で受精に適した状態と考えられた卵子です。採卵時に未熟な卵子(14%)や変性している卵子(1%)は受精には適していません。

2017年に、これらの成熟卵を上記の方針に従ってcIVFまたはIVFとある、体外受精を行った成熟卵が296個、顕微授精を行った成熟卵は353個でした。

そして実際の受精率は棒グラフの2PN+Fで、体外受精で73.3%、顕微授精で87.4%と、2016年は体外受精74.1%、顕微授精85.0%だったので、体外受精で微減、顕微授精で微増したものの、ともに例年通りの受精率でした。

他に棒グラフのNFは未受精を表し、>3PNは多精子受精、つまり体外受精で一つの卵子に2つ以上の精子が入り込んでしまったもので、これも正常な受精卵として発育しません。また変性率は体外受精2.0%に対して顕微授精3.3%、と、顕微授精は卵子に直接精子を注入させるため、わずかではありますが、卵子を変性させてしまう確率が体外受精に比べて上昇します。2016年は、顕微授精の変性率が6.4%であったため、2017年は変性率を減少させています。

受精方法の体外受精、顕微授精、Split ICSIの当院の基準を示しましたが、カップルの価値観によって、どの方法を用いるか、相談して最終的に決定します。