リンゴ病、ほほが赤くなることからそう呼ばれている「伝染性紅斑」の流行が、首都圏を中心に警報レベルに達していますが、横浜市でも定点あたりの患者報告数が2.06と、2014年以来の、警報発令基準の2.00を上回る流行となりました。

12月6日に発表された横浜市衛生研究所からの情報では、

伝染性紅斑3048週横浜市

2018年を表す赤いグラフが例年より高く推移し、増加しているのがわかります。

11月30日に厚生労働省/国立感染症研究所から発行された感染症週報でも、定点あたりの報告数は減少傾向にあるものの、依然例年より多い報告がなされており注意が必要とされています。

保育園や幼稚園を中心に、小さなお子さんたちの病気、と思われがちですが、大人でももちろん感染します。

特に心配しなければならないのが、妊婦さんたち。

あたかも現在流行している風疹のようでもあります。

妊婦さんが伝染性紅斑に罹ると、お腹の赤ちゃんに感染し、最悪の場合は胎児死亡となります。

・胎児への感染は、ほとんど(9割)が母体感染の1〜8週間以内に発症します。

・妊娠20週未満の感染例では、20週以降に比べて胎児死亡率が高くなります。胎児死亡率は8.2%との報告があります。

・胎児に感染しても、1/3は自然寛解します。

・胎児が感染した場合、胎児水腫を来たします。妊婦さんが感染すると2〜10%、胎児水腫となります。

・胎児の所見が消失すれば、感染しなかった赤ちゃんと同じ経過となり、心配が不要です。

伝染性紅斑は、ヒトパルボウィルスB19の感染により発症します。

このウィルスは赤血球を作ることを抑制するため、一時的に貧血を来します。妊婦さんが感染するとお腹の赤ちゃんにも感染し、赤ちゃんの貧血、そして心不全、胎児水腫を起こして亡くなることもあります。

風邪やインフルエンザと同じ様に、飛沫感染するので、マスク、手洗いが有効で、防ぐためのワクチンがありません。

症状は感冒様の症状と発疹(紅斑)、関節痛などですが、20%は症状がなく、50%は感冒症状のみで、典型的なリンゴ病症状は25%にしかみられません。

潜伏期間は4〜10日で、当初は感冒様の症状が多く、2週間ほど経ちウィルスが体内からいなくなってから出現するリンゴ病症状と関節痛を起こします。

典型的なリンゴ病症状の時にはすでにウィルスがいないので、この時期に他人への感染力はなくなっており、症状が出る前に感染力があるため予防には厄介な病気です。

妊婦さんは他の風邪やインフルエンザと同様に、マスクや手洗いなどを行うくらいしか予防法がなく、かかったと思われる際には血液検査でIgMという抗体が出ているか、診断が出来ます。

また伝染性紅斑はワクチンはありませんが、IgGという抗体があれば、感染の心配はありません。成人では50%くらいの方がIgG陽性でかかる心配がありません。小さなお子さんたちはこれまでかかっていないため、やはり幼稚園や保育園、小学校での流行がよくみられます。

IgMは症状が出たり、家庭内に患者さんが出たら保険適用で検査が出来ますが、IgGは自費検査となります。

(参考文献:産婦人科診療ガイドライン 産科編2017、日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会)

(初出:平成30年11月28日)
(補筆修正:平成30年12月4日)
(補筆修正:2018年12月6日)