体外受精など生殖補助医療(高度生殖医療)の卵巣刺激法として多くの方にお勧めしているロング法。Long法

ロング法では卵巣刺激(排卵誘発)して採卵する周期、の前の周期(プレトリートメント)にLEP/OC(低用量ピル)を服用し、3週目からGnRHアゴニストである点鼻薬(スプレキュア/ブセレリン®)をお使い頂きます。

プレトリートメントは、OCの代わりに40歳以降の方、Cグループの方、アンタゴニスト法では注射剤によるカウフマン療法を行います。また自然周期で行うこともあります。

ERA検査

皆さまからよくご質問頂く、ロング法のマイナートラブルなどについてまとめました。

LEP/OC服用中の不正出血

OCやLEPは低用量ピルと呼ばれ、少ないエストロゲンの量で月経周期を作り出します。この少ないエストロゲンが、不正出血の原因となります。避妊や月経痛などでOCやLEPを服用する場合、2ヶ月目、3ヶ月目、と不正出血の量や割合は少なくなっていきますが、プレトリートメントで服用する場合は基本的に1ヶ月だけなので、毎回出血してしまう方もいらっしゃいます。しかし、出血の量はほとんどの方が少ない量で、大きなトラブルになることはありません。もし、お困りになる場合は来院して治療法を相談しましょう。

LEP/OC服用中の基礎体温が高い

これはLEP/OCに含まれている黄体ホルモンのためです。黄体ホルモンは本来は排卵後に卵巣から分泌され、基礎体温を高くします。LEP/OCに含まれた黄体ホルモンも同様で、通常の周期と異なり月経期から服用するため、服用中、ずっと高い状態が続きます。薬のせいですから、心配なさらないでください。また反対に基礎体温を付けても高い日が続くだけなので、LEP/OC服用中は久しぶりに基礎体温を付けることから解放されてもいいと思います。

ロング法で毎日注射をしてますが、おりものが増えて来て、排卵しないか心配です。

自然の周期や内服の排卵誘発剤の周期では、排卵前にエストロゲン(エストラジオール)が増えるため、排卵期のおりものが増える症状が出ます。

・自然周期や内服の排卵誘発剤の周期

下垂体からFSHが分泌される
→卵胞が発育
→エストロゲン(エストラジオール)が増え、おりものが増える
→下垂体からLHが分泌される
→排卵

・ロング法

前の周期からGnRHアゴニストを使用するので、下垂体からのLH、FSHの分泌が抑えられている
→注射剤であるFSH、HMGで卵胞を発育させる
→卵胞が発育
→エストロゲン(エストラジオール)が増え、おりものが増える
→GnRHアゴニストを使っているので下垂体からLHが分泌されない
→hCG投与(LHの代わり)を使って排卵させる
→排卵前に採卵

排卵前のおりものは、排卵するから出るのではなく、エストロゲンが増えるから出てくるのです。

ロング法でGnRHアゴニストを使い続ける限り、LHの分泌が抑えられるため、排卵をしてしまうことはありませんが、排卵はしないものの、卵胞発育とともにエストロゲン(エストラジオール)が増えてくると、子宮頸部からの分泌物が増えますが、これがいわゆる排卵期のおりものです。

つまり、GnRHアゴニストの点鼻薬を使っている限り、卵胞が育ち、おりものが増えてきても、排卵をしてしまう、ということはないのです。

他、この点鼻薬に関するご質問はこちらにまとめてありますのでご参照ください。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

(初出:平成31年2月12日)
(補筆修正:平成31年4月16日)
(補筆修正:令和2年2月7日、3月25日、5月1日)
(補筆修正:令和3年2月1日、10月25日)
(補筆修正:令和4年6月3日、保険適用に沿った説明に修正しました)