体外受精など高度生殖医療で得られた受精卵を子宮に戻す「胚移植」の際に、受精卵の周りの透明帯に「切れ目」をつける方法を「アシステッドハッチング(Assisted Hatching、孵化補助法と訳されます)」と言います。


ハッチングと受精卵の着床

透明帯とは、卵子が未熟な頃から卵細胞を取り囲み、受精の際には多くの精子が卵子に到達できないようブロックする役割が有り、受精卵が2細胞→4細胞→8細胞、、と分割していく際にばらけてしまわないように、そして外的環境からも受精卵を守る役目もあります。

このように、鳥で言えば、卵の殻の役割を果たしてくれています。

受精後5、6日経過した受精卵は、「胚盤胞」と呼ばれる状態に成長し、その体積を拡張しながら、やがて周りの透明帯を破って脱出し、子宮内膜に着床します。

この際、鳥の卵のように、固い殻だったら胚盤胞は透明帯から脱出することが出来ず、着床することが出来ません。


アシステッドハッチングとは

さて、胚移植を前にした受精卵。

胚盤胞培養をした場合には、グレード1〜6まで評価し、グレード5は、Hatching、つまりハッチングしつつある状態、グレード6はHatched、ハッチングした状態、を評価することが出来ますが、分割期胚やグレード4までの胚盤胞は、子宮内に移植した後で、うまくハッチングするかどうか分かりません。

ハッチング障害の原因として、

・年齢

・透明帯の肥厚(卵質が低下していると透明帯がとても厚い場合があります)

・体外培養

・受精卵凍結、融解

などが挙げられます。


ハッチング障害となった受精卵は着床できないため、アシステッドハッチングにより、ハッチングを手伝ってあげることが出来ます。

アシステッドハッチングの方法として、

・機械的方法
  細いガラス針で「切れ目」をつける

・レーザー法
  レーザー照射により切れ目をつける

・化学的方法
  酸性タイロード液などで透明帯を薄くする

ものがあり、近年ではレーザー法が増えています。レーザー法では高価な器械が必要となり、患者さんへの治療費が高くなってしまうことと、受精卵への加熱の影響がまだ詳しく分かっていないことがあります。また、化学的方法も同様に、受精卵への影響から、最近では行われなくなってきています。

産婦人科クリニックさくらでは、この中で最もテクニックが必要な機械的方法を行っており、胚培養士は廃棄卵を利用させて頂き、トレーニングを積んでいます。

次のページでは、どのような受精卵にアシステッドハッチングを行うのか、当院の最新の方針やコストを説明します。