高度生殖医療では、着床期の黄体ホルモンの不足を補うため、黄体補充、つまり黄体ホルモンを補充することが必要です。

これまで当院では、
・デュファストン(内服)
・プロベラ(内服)
・プロゲステロン注射剤
・プロゲデポー注射剤
などを用いてきましたが、2015年12月に新しい黄体ホルモン製剤である「ルティナス腟錠」が発売され、以後、同様の製剤である「ウトロゲスタン腟用カプセル」「ワンクリノン腟用ゲル」を用いて来ました。

上にあげた黄体ホルモンのうち、デュファストン、プロベラ、プロゲデポーは、合成黄体ホルモンですが、現在使用している黄体ホルモン腟錠は天然型の黄体ホルモンです。

合成黄体ホルモンが、妊娠率や副作用の点から劣っている、と言うことではありませんが、国際的なトレンドとして、合成から天然型への転換が進んでいます。
また、投与経路ですが、内服、注射、外用、とある中で、その血中濃度の安定性から、外用製剤が使われる傾向になっています。腟錠としての投与も、外用に当たります。

約4年間の黄体ホルモン腟錠の治療成績を比較すると、各腟錠で出産率に違いがなく、患者さんへの聴き取りにより、1日1回の使用で済む「ワンクリノン」が最も評価が高かったため、黄体ホルモン腟錠はワンクリノンを用いています。

ワンクリノンは、腟に挿入しやすいように、プラスティック製の筒の中に薬剤が入っており、軽く振った後に先端を手でちぎって、腟内で薬剤を押し出します。

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一番手前にあるものが薬剤の入ったプラスティック製の筒です。


以下、当院でご案内している内容です。

黄体ホルモン腟錠について

Q. 黄体ホルモン腟錠とは?
・ 天然型の黄体ホルモンで、これまでの合成型黄体ホルモンよりも自然に近いホルモン剤です。
・ 腟からの吸収に優れ、子宮内膜の着床環境を整えます。
・ 国際的にも黄体ホルモンの経腟製剤は多く(77%)使われております。

Q. 使用方法は?
・ 上記のあるように、1日に1回、できるだけ決めた時間に使用します。
・ 妊娠判定まで使用し、妊娠が成立したら、約2ヶ月間継続使用します。

Q. 使用上の注意点は?
・ まれに眠気や頭痛が現れることがあります。かゆみが出ることもまれにあり、その場合は内服や注射剤に変更します。またホルモン剤のため、少量の不正出血がみられることもあります。

Q. もし腟内のゲルが出てきてしまったら?
・ 黄体ホルモン腟錠は、主成分である黄体ホルモンの吸収が優れ、吸収時間が短いため、1時間ほど腟内に入っていれば、効果に問題はなく再度挿入する必要もありません。
ワンクリノンは挿入後速やかに血中の黄体ホルモン濃度が上昇し、6時間後に血中濃度がピークに達します。
・連日使用するうちに、カスがまとまって出てくることがあります。下に説明を加えています。

Q. 茶色や赤い出血、少しみられるけど生理?
・ 上にも書いたように、使用中、不正出血がみられることがありますが、ほとんどが少量のことが多く、ワンクリノンを継続して下さい。妊娠の判定で残念ながら陰性であった場合、使用を中断します。その後月経が始まります。

Q. 腟錠を使った後で出てくる「カス」の様なものは?
・ どんな薬でも薬効成分以外の基材にあたる部分があります。ワンクリノンでは薬効成分が吸収された後で基材(ゲル)が「カス」のように出てくることがありますが、薬の効果に影響はありません。不正出血と混じって茶色いカスの様に出てくることもあります。腟錠を使い終えるまで続きますが、入浴の際など通常通りに洗浄して下さい。カスが出ないことも、まとまって塊のように出ることもあります。またまれにこれがかゆみとして感じる場合もあるので、不快な場合には担当医に相談して下さい。

(初出:平成29年11月14日)
(補筆修正:平成30年12月25日)
(補筆修正:令和元年年11月21日)