インタビュー 理学療法士 石井美和子先生
われわれ医療者にとっても、「理学療法」って、具体的には、脳卒中や事故、スポーツ外傷のリハビリテーション、くらいしかイメージが湧かないのですが、理学療法ってどんな治療法? また産婦人科との関係、そして、どんなことをするのか、理学療法士、石井美和子先生に伺ってみました。
(聞き手 桜井明弘)
石井美和子先生、いよいよ7月11日から、よろしくお願い致します。
ーこちらこそお願いします。
早速ですが、理学療法について伺います。どんな治療をするのが理学療法なんですか?
—はい、一言で申し上げるにはなかなか難しいのですが、
まず、悪い姿勢や、動きのクセを修正して、負担を軽減します。
そして、カラダを一つの‘システム‘と捉えて、運動器(骨/関節/筋肉)を使うんです。さらにスムーズに動けるようにすること、最終的にカラダ全体がうまく働くようにすることを目指します。
何となく理学療法士さんて、骨と筋肉、そして関節のエキスパート、と言うイメージです。
—そうですね、医師の先生方の治療とはアプローチが異なると思っています。
さて、理学療法を行って、どんなことが良くなる、変わっていきますか?
—理学療法の効果は「姿勢が整う、動きやすくなる」ことです。
関節が動きやすくなると、集中した関節への負担が減り、筋肉が働きやすいカラダになり、歪みが少なくなります。
また、余計な圧力がかからなくなることから、血管を含めた骨盤内臓器への負担が少なくなり、腹圧性尿失禁や臓器脱が減ります。
では実際に、産婦人科クリニックさくらでの理学療法、どんな症状、疾患の方が対象となりますか?
—このような方たちです。
・尿漏れ、便漏れ、便秘など排泄系トラブル
・臓器脱(重篤でないもの)機能性月経困難症、女性性機能障害など骨盤周りのトラブル
・産前産後のマイナートラブル(産後のぽっこりお腹含む)
・不妊症
・慢性的な肩こりや腰痛、膝痛など
・姿勢や動きのクセの改善
妊娠中や、産婦人科クリニックさくら以外の医療機関にかかっている場合は、主治医の許可が必要です。
男性は、産婦人科クリニックさくらに通院している方のパートナーに限らせていただきます。
尿や便の漏れ、臓器脱、女性性機能不全、産前産後のトラブルなど、なかなか他人に話せない、医療機関でもおっしゃることの出来ないものが多いですね。
皆さんどこで相談したら良いか、分からないのではないでしょうか。
—そうなんです、そもそも、これを異常と認識したり、治療が出来ると思ってない方が多いです。
これくらい、仕方のないこと、と諦めてしまったり、周囲からも、そんなもんだよ、と言われたり。
「そんなもんなんだ」と思ってしまっているので、治療できるとは全く思ってないですよね。
尿漏れ、臓器脱、便秘、そして月経困難症ですら、女性なんだから仕方がない、産んだのだから仕方ない、とされてしまいますね。
機能性月経困難症とは、子宮内膜症や子宮筋腫など、明らかな異常がないのに月経痛が強いことを指しますが、女性性機能不全とはどんな症状ですか?
—性交障害が主です。特に産後に多く見られ、出産時の産道裂傷などが原因となって、つれたり痛みを感じやすくなり、そのため性交渉がうまく出来なくなってしまいます。
パートナーとのコミュニケーション障害にもなりますし、性交渉が苦手となって、不妊の原因にもなります。
女性性機能不全も理学療法で改善する可能性があるんですね?
—腟や骨盤底筋、周囲の筋肉、関節を調整することで、良くなる方があります。
では、理学療法の流れや必要な回数を教えてください。
—一般的な流れは、
問診 → 評価(検査) → 運動療法
となります。
問診では、改善したいところ、目標の確認を行い、
評価は姿勢不良や痛み、動きにくさを生じさせている原因を探します。超音波で検査を行うこともあります。
そして、運動療法は、関節の位置調整、筋肉へのアプローチ、運動指導となります。
カラダのクセを修正していくので、3-4回最低必要になることが多いです。
よく分かりました。引き続き、インタビューを続けさせて下さい。
→次のページでは、もう少し詳しく産婦人科クリニックさくらで行っている理学療法について解説してもらいました。
石井美和子先生の「カラダを解き放つ理学療法」は、平成29年7月11日(火)より開始しています。
ご予約は産婦人科クリニックさくらのネット予約もご利用になれます。