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排卵障害とHCG注射

LUF(黄体化未破裂卵胞)

一時期、不妊原因のひとつとして、このLUFが非常に注目を集めていました。
LUF、Luteinized Unruptured follicle、日本語では黄体化未破裂卵胞症候群、頭文字から、「ルフ」と呼ばれています。

LUFでは、LHサージは正常に起こり、ホルモン動態は黄体期(高温期)となるのに、卵胞が排卵していない、黄体期になっても大きめの卵胞として残存、そのときの黄体ホルモンの分泌値が低い、と、診断自体は難しくありません。

毎周期LUFになる方と、LUFの周期が時々ある方があります。

卵胞が排卵していないので、中の卵子が卵管内に取り込まれず、妊娠できません。

原因としてさまざまな病態が言われていますが、現在では主に
(1) 卵巣周囲癒着
(2) (潜在性)高プロラクチン血症
などが挙げられています。

卵巣周囲癒着は、クラミジア感染子宮内膜症、術後癒着などで引き起こされ、卵胞の表面に癒着があるため、物理的に卵胞が破れない、破裂しない状態です。
高プロラクチン血症がなぜLUFを起こすのか、詳しい機序は分かっていませんが、関連があるということです。

治療法は、まずLHサージの代わりに排卵前にhCGを投与することから始めます。
内因性の(ご自身の下垂体から分泌される)LHの分泌量が不足している場合、hCGで強力に排卵を起こします。hCGはその製剤によって、3000単位、5000単位、10000単位、と量が異なるため、少量から徐々に増量して用います。

10000単位でも排卵しない、LUFである場合、卵巣周囲癒着が疑われる方には手術的に癒着を剥離する方法、または体外受精を、高プロラクチン血症の方はプロラクチンを抑える薬、現在ではカベルゴリン(カバサール®︎)が最も多く使われています。

それではこれらの病態に治療薬として用いられるHCGですが、どのように作られるのでしょうか。