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排卵障害とHCG注射

LHサージ遅延

排卵が起こるきっかけは、卵巣に卵胞が発育し、下垂体からLHが多く分泌される状態、LHサージが起こることによります。LHの刺激で卵胞がつぶれ、卵子が卵胞から卵管内に取り込まれる、これが排卵です。

排卵障害の中でも、遅延排卵は、卵胞発育が遅い状態。
このLHサージ遅延は卵胞が成熟した大きさになっているにもかかわらず、なかなかLHサージが起こらない状態です。

たとえば、自然周期での排卵する卵胞径、卵胞の大きさですが、平均的には20mmとされています。実際に臨床的に見ても大体18mmから25mmくらいでしょうか。

卵子を取り囲む顆粒膜細胞からエストラジオール(卵胞ホルモン)が分泌されますが、卵胞の中の卵子が成熟すると、エストラジオールは200pg/mlを越えてきて、LHサージが始まりますが、200を越え、300、あるいは400と上昇して初めてLHサージが始まると、卵子が「過熟」となり、妊娠率が低下します。これをLHサージ遅延、と呼んでいます。尚、このLHサージ遅延は、認知された病名ではありません。
反対にエストラジオールが200に達する前にLHサージが始まると、未熟な卵子が排卵されてしまって、これも妊娠しにくい原因の一つです。

体外受精などの生殖補助医療で得られた卵子を見ると、やはり至適な大きさの卵胞で、至適なエストラジオールを分泌された状態で得られた卵子のほうが受精率が高く、出産率も高くなります。

LHサージ遅延の治療法は難しくなく、エストラジオールが200を超える卵胞径で排卵させるのにhCG製剤を投与することで可能です。

次に卵胞が十分発育し、LHサージが起こっても卵胞が排卵しない病態、LUFについて説明します。